015 016 下流社会

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

言わずと知れたベストセラー。
あんまりいい評判を聞かなかったら,読む気はなかったけど,
親が買っていたので,借りて読んでみた。


俺は,なぜだか知らないけど,結構前から格差社会というテーマに
興味があって,最近は相当興味がある。
国会とかでも話題になっているしね。


この本のテーマは,階層と消費行動の関係。
著者の意図は,よく分からないが,階層分化を是とはしていないようだ。
冒頭の下流チェックを立ち読みしたときには,
ある種の人たちを下流と呼んで馬鹿にしたいのかと思ったが,
そういう意図ではないらしい。
まあ,いずれにせよ著者のメッセージ性は弱い。


結構面白く読める本で,想像以上だった。
男性女性別の消費行動の類型化が面白い。
また,この本における「下流」の人の思考様式に対する分析は,
さほど悪くない気がする。
「自分らしさ」にこだりわり,普通の生活を拒否するとか。


とはいえ不満な点もいくつか。
まず,サンプル数が少なすぎて,統計としての価値は乏しそう。
あと,階層を分類する基準が本人の意識だけというのもよく分からん。
あと,調査の範囲が都市部だけ。地方は,また違うだろう。


この本自体は,それほど悪くない気もするが,
最近,「下流くん」という言葉が出てきて,テレビでも使われたらしい(未確認)。
その際のメルクマールが,年収が年齢の10万倍以下っていうとこだけが
強調されているような気がする。
「負け犬」のときもそうだったけど,こうやって言葉だけが先走るのはよくないと思う。


最後に俺がより重要と考えている点について。
この本に出てくる下流の人たちは気楽に見える。
それより更に所得水準が低く,希望もない人たちが世間にはいると思われる。
そういう人たちの問題の方が重要だと思われる。


どちらかというと,この本は格差社会の本ではなくて,
フリーター・ニート問題の本ではないかと言ってみる。


ちなみに,俺は結構「下流」タイプ。



そうそう,こんな本も読んだんだ。結構面白いけど共感はできない。
坊やだからね。
4U(ヨンユー) (幻冬舎文庫)

4U(ヨンユー) (幻冬舎文庫)