021 CM化するニッポン

CM化するニッポン―なぜテレビが面白くなくなったのか

CM化するニッポン―なぜテレビが面白くなくなったのか

広告業界にいた著者が、日本のメディアを語る本。
広告とのタイアップの話とかが、ペイドパブ*1の話とか。
あとは、流行の作られ方の話とか。
まあ、この辺の情報は、だいたい知っている話なので、
期待したほどの衝撃はなかった。


メディアに流れている情報の多くがコマーシャルであることを
どのように評価するかは難しいところである。
個人的には、あざといと思うが、それが資本主義なのだよと言われれば、そうかもしれん。
とはいえ、そういった情報発信に対し、ある程度理解して受容すべきなのではないだろうか。
その意味では、さらっと読めるこの本は結構おすすめ。


興味深かった点もいくつかある。
一つは、地上波デジタルへの移行の裏話。
地上波デジタルというのは、放送の手段としては、さほど良いものではない。
光ファイバーとか、衛星放送の方が優れているらしい。
地デジのメリットというのは、その地域性。
全国放送にしちゃうと、地方のテレビ局が存続できなくなってしまうし、
これは、中央の局にとってもあまりおいしくない話らしい。


あとは、「戦争広告代理店」を紹介して、PRの具体的方法についてまで言及していた。
ここら辺の話は、本当にこれから重要になると思う。
東横インとか、完璧に初手を誤ったからね。


あと、この推論は、本当かどうか分からないけど、鋭いと思った。
サラ金CMの増量は、メディア業界のみならず、日本の産業全体にとって良い話である。
なぜなら、サラ金で借金をすることによって、人は自らの所得水準を超えた消費が
可能になるから。


この本では、少ししか触れられていないけど、
今後は、ネット上で似たようなことをする動きが進むみたい。
一例として「ウォークマン体験日記」の話とか*2
検索してみて下さい。

*1:paid publicity。一見すると記事に見えるが、実はスポンサーがついているもの。うまく説明できない…

*2:これは失敗例だけど