南十字星

雨の中、しかも風邪気味とコンディションはいまいちでしたが、見てきましたよ。劇団四季の「南十字星」。前から、4列目センターというかなりいい席で。


この作品は、「李香蘭」「異国の丘」に続く、浅利慶太の戦争三部作の完結編という位置づけになるんだけど、他の作品との比較も織り交ぜながら感想でも書いてみましょう。ネタバレとか平気ですると思うので未見の方は気をつけてね。


まず、全体的な印象としては、予期に反して、結構楽しめた。「異国の丘」の時も初見ではそんなにいいと思わなくて、二度目でようやく良さが分かってきた感じだったので、今回もそんなに期待してなかったんだけどね。


全体的なテンポがわりと速くて、舞台もあまり変わらないため、話に入りやすい。ストーリー自体は、わりとシンプルだと思った。メッセージ性は最後にストレートに伝えられてはいたけど、異国(やユタ)ほどの説教臭さは感じなかった。とはいえ、全体の印象はあっさり。主役二人の関係性も殆ど掘り下げられてないし、悲劇性もほとんど強調されてない。だから、泣く気配すら感じなかった(元から芝居見てなくことはないのですが)。別に泣くために観に行くわけでもないし、娯楽作と考えれば、十分の出来ではないでしょうか。


音楽も、全二作と変わらず、三木たかしなので、耳になじみやすい楽曲でよいが、帰り道に思い出したのは、「ブンガワン・ソロ」だけだった。まあ、これは仕方ないか。


舞台について。舞台上に水が張ってあるのは分かったけど、視点が低すぎてよく見えず。残念。帰ってから舞台写真見て驚いた。2幕のシンプルな装置はわりと好き。


キャストについて

阿久津さん:なんというかストレートな感じで役柄には合っていただろう。歌は決してうまくないけど、それでも構わん。これを機に成長するといいなあ。
樋口さん:なんか、顔というか表情に癖がある気がする。それがちょっと気になった。インドネシア舞踊は頑張っていたのではないでしょうか。
光枝さん:語り手。非常にうまい(異国よりいい)。ただ歌が無いのが残念。
リナの兄役の人:名前も初めて見たが、なかなか良かった。


第1幕
静かすぎる幕開きに焦る。あれはちょっとな、あんま好きじゃないや。その後も、踊りが続いて、影絵やったりして、相当だれる。ごめん、僕は歌や台詞がないと飽きるんだ。
そのあと、日本のシーンがあって、舞台はいきなりインドネシアに。ここら辺の展開は早い。その後、ガムランのシーンが結構長々あって少しだれる。ごめん、僕は(以下略)。1幕の終わりの方で、主役二人のデュエットがあって思いっきり異国を思い出す。そこで終わったら全く同じだなと思ったけど、そうはならず。


第2幕
第2幕は戦後の話。歌は少なくなり、ストーリーは佳境に入る。全2作にあった「泣かせる」シーンが絶対あると思ったのになかったな。ラストもさほど印象に残る終わり方ではなかった。

色々書いてみたけど、劇評書くのって難しいな。
なお、帰ってから、2chを見たところ非常に評判が悪いらしい。


最後にこれで三部作が完結したわけだけど、浅利慶太が戦争のことを今の若い世代に伝えたいという発想自体は正しいと思うし、インドネシアという今までさほど知られていなかった地域にスポットを当てたのも良かったとは思う。
ただ、今後の四季には「楽しいだけの」ミュージカルを作ってみて欲しいと思う。