終末のフール&魂萌え!

終末のフール

終末のフール

魂萌え !

魂萌え !

東京帰ってきてから、本を読む暇がなくなってきている。
と思ったが、通勤時間が長いこともあり、意外と読んでいる。
最近読んだ2作をとりあえず紹介。
伊坂幸太郎桐野夏生は、ともに無条件で読む作家であるが、
かなり対照的だと思った。


まずは、「終末のフール」から。
3年後に小惑星が衝突して地球が滅亡すると分かっている
仙台あたりが舞台の短編集。
相変わらずの伊坂ワールドなんだけど、全体的に落ち着いた話で
それほどのおもしろさはなかった。
まあ、終盤はしみじみとした良さがあったが。


続いて、「魂萌え!」。
タイトルは、ようわからんけど、
夫を急に失った59歳の専業主婦の物語。
っていうと、まるで自分と関係のない話に見えるが、
それでもおもしろく読ませてしまうのだからたいした物だ。
というか、桐野夏生はものすごい作家になったかもしれない。
正直、今回のはたまげた。
日常にありそうで、しかも嫌な感じを濃密な心理描写で
描いていて、非常に引き込まれた。
別に感情移入とか言うのでもないんだけど。


で、この両者を比べると相当対照的な気がする。
軽快でスマートな伊坂と濃厚な桐野。
どちらが好きで嫌いとか言うこともないが、好対照だ。


話は変わるが、先日、伊坂の「砂漠」は、直木賞を取れなかった。
「砂漠」は傑作だと思うので、取ってもらいたいと思っていたが、
東野圭吾が「人間が書けていない」と批判され続けて、
長いこと直木賞を取れなかったことを考えると、
伊坂も同じ轍を踏みそうな気がしなくもない。
(もっともあれは、某選考委員の私怨という噂もなくはないが)
彼の作品はスペシャルだと思うので、今後もがんばって欲しい。


今回は敬称を略させてもらいました。すみません。